母型

2014.02.13

母型2

 

瀬戸内海に浮かぶ豊島。
そこに内藤礼の作品『母型』のためだけに作られた
豊島美術館がある。

曲線を描くコンクリートシェル。
内部は柱一つない空洞。

大きく空いた円形の穴から見える景色は、
季節の移り変わりと共に変化していく。

無機質なコンクリートが、
この場所では自然と一体化している。

屋外でもあり屋内でもある曖昧な空間。

ところどころ床に水たまりができている。
よく見ると、ピンポン球のようなオブジェから
微量の水が湧き出ている。

床には撥水剤が塗布されており、
丸い水滴が水たまりに向けて
まるで水銀のように転がっていく。

水滴によって水たまりは姿を変えていく。

海のように変化を繰り返し、
決して同じ形にならない作品。

 

冷ややかなコンクリートの床に寝そべってみる。

僕はアートではなく、
自然を求めていたんだ、と改めて気が付く。

風や光や音を全身で感じる。

まるで胎児のような、
何かに護られている懐かしい感覚。

胎内のような空間で、意識が心地よく泳ぐ。

 

僅かな情報量だからこそ
浮かび上がってくるメッセージ。

 

『母型』は不確かな要素の集合体だ。

不確かなもの、曖昧なものが残す余白は
いつも想像が埋めてくれる。

結論やゴールが明確に描かれていない
映画や小説だってそうだ。

確かなものが多く求められる
この世の中だからこそ、
僕は不確かなものが生む
可能性のようなものを信じていたい。

 

母型bw

text by s_matsuoka

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