「くらべ てダカラすごい」 では様々なデザインの見え方など
ビジュアルで一目瞭然に比べてわかりやすく解説します。

野球中継で見かけるアレのすごさ

夏の甲子園の熱戦から、早1ヶ月。今年も多くのドラマを見れました。
中でも、大社高校と早稲田実業の一戦は、歴史的な名勝負だったと思います。
ただ、残念ながら高校野球について語る場所ではないので、このあたりでグッと堪えます。

今回は、いつもの「くらべてすごい」のように、比較してデザインを語るものとちょっと違うんですが、
野球中継を見て気づいた、情報を視覚に訴えるすごさを語りたいと思います。

野球のスコア表示って?

野球好きの方ならご存知のコレ。
この数字と図形色だけの情報で、今どんな状況かすぐに伝えられる(伝えなくちゃいけない)わけです。

スポーツ全般に詳しいわけではないですが、野球って試合進行にあたり情報量が多いスポーツだと思います。
それを一目で伝わるように設計されているんですよね。
ここに表されているものを整理しますと、

この表示例はオーソドックスなものです。
チャンネルによって見せ方が違っていたり、
高校野球、プロ野球、メジャーリーグ、交流戦などのイベント試合では演出も違います。
得点シーンを派手なアニメーションで盛り上げたりするのもよく見かけますよね?
(大谷翔平選手のプレーは、テロップなしでも華やかに見えるから不思議)
野球中継を見て思うのは、対戦成績とか打率、防御率、球速・球種だとか・・・都度入る情報量が本当に多い。
他のテレビ局との違いを出すために、情報や演出で差別化を図っていたりもするでしょう。

ただ野球は、サッカーやバスケほど目まぐるしく状況が変わらないので、
これだけの情報を受け取る時間がある、というのも情報が足されていく要因かもしれませんね。

ささいな工夫で見やすさプラス

もう一度スコア表示を見てみますね。
試合の状況を伝える中で、より伝わりやすい工夫にお気づきですか?

例えば、数の上限を点滅で表したり、どちらが攻撃中かをマークします。
野球は3個アウトを取れば攻守交代となるので、「アウト」の数を3つのマルで表しながら、実際のアウトの数だけ色がつく。
応援しているチームが攻撃中で、ランナーが出塁していれば得点のチャンスなので、その時のアウトカウントも気になりますよね。
「待って、今いいところだから」って言われちゃう場面です。(そこからが長いのも野球あるある)

情報を整理して伝える

もう少しこの表示を分解すると、

全体の情報と、試合中の詳細情報を同時に表示しています。
2024年の夏の高校野球中継を見ていて「おや?」と違和感を覚えたのですが、
画面左上に「何回の表/裏」と、得点板が表示されていました。
テレビでは、画面左上に時計を表示していることが多いので、「時間の流れ」が分かるように情報を整理したのでしょう。

「露出は控えめに、だけど重要」をカタチにするデザイン

装飾したり美しさを表現をするのが「デザイン」と思われがちですが、
「いかに情報をわかりやすく伝えるか」もデザインなんです。

最初にお見せした見慣れたスコア表示。
シンプルな数字や図形と色を使い、コンパクトに一度にたくさんの情報を伝えています。
この凄さが少しでも伝わるといいな〜。

マニアックな視点ではありますが野球中継のスコアを通じて、
この言語と非言語の情報を整理してカタチにするデザインの介在価値を伝えてみました。

余談ですが…
スコアブックには、天気図のような記号で試合経過を記録します。
長い野球の試合を見ていなくても、それを読めばどこでどんなプレーがあったかが解読できます。
共通記号で状況を伝える古代文明のようで、なかなか面白いです。

Designer カワサキケイコ
バロック【大阪オフィス】リテールコンサルティング部クリエイティブ課
茶わんむしのうた」が歌えます。

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